「何を見てるの?」


ビルの屋上から下界を見下ろしつつ一服していた僕に、

隣に並ぶ彼女は言った。


「君が見てるモノを同じだけ見てるよ」


はにかみながら、僕は答えた。


「うふふ・・・そう」


僕のお気に入りの角度に俯いた彼女はいちだんと奇麗に見える。


「でも、同じじゃなかったね?」


笑顔でそう告げると、ヒラリと屋上から飛び降りた。

瞬間的だったが、シャンプーの良い香りがした。