遠い昔の話です。


仲良くなった女性をついに部屋に呼ぶことに成功した僕は、今夜はもしかしたらもしかするかもしれない!!と期待に股間を膨らませ、そわそわしながらも冷静を装い、コタツに入り他愛もない話をしておりました。

正直に言いますが、僕はそのような経験も少なく、どうやればアレのようなムードに持っていけるかもさっぱりわかりませんでした。

ですが、相手も「そのつもり」となれば話も別なわけです。お互いにだんだんと口数が減り、終いにはただ見つめ合うのみ。心の中に住むちっちゃい僕達全員が全員、GOサインを出します。ここで行かねば何とする。

僕は相手との距離を縮め近づきます。

そして相手の肩に触れた時に初めて、相手が震えていることに気づきました。ひょっとしてまた勘違いやらかしてしまったのではないのだろうか、自分。と、心の中のちっちゃい僕達に相談します。ちっちゃい僕達は困惑してました。

普段、下ネタも平気で話せる明るい女性なだけに、震えて、むしろ怯えているようにも見え、不思議に思った僕は「どうしたの?」と聞きました。

相手は「 男が怖い 」と泣きながら言いました。

話を聞くと、つい先日、街でキャッチに会ったらしく、聞くと芸能プロダクションのスカウトマンで、興味があるのなら所属して芸能界で頑張って見ないか?という、まぁ、ありきたりな話。

だけども、その言葉に気を良くしたその子は数日にわたって詳しい話などを聞き、最終的には事務所も兼ねているというスカウトマンのアパートへ行き、犯されたそうです。髪の毛を掴まれ、殴られ、豚だと罵られ、犯されたそうです。

本人は忘れようと努力していたらしいのですが、いざ、男性が自分に近づいてきた時に体が勝手に震えだし、思い出してしまったそうです。

震えながら話す相手に、僕は「バカヤロウ」と言い、抱きしめました。無意識に拒否反応してしまう相手を強引に抱きしめ、大丈夫だから、何もしないから、大丈夫だから、と、必死になだめていました。なぜか僕も涙を流していました。

その日は相手が帰る時間になるまでただ抱きしめていました。途中、何を思ったか「しようよ」とか言われたけれど、僕は「バカヤロウ」とだけ言って、後は黙ってそのまま時間を過ごしました。。

その後、単位不足で学校が忙しくなった僕が彼女に会ったのはその1ヶ月後で、聞くと彼氏が出来て幸せにやっているとのことでした。がっかりもしたけれど、それ以上に安心感が大きかった気がします。




この世の全てのレイプ犯に耐え難い苦痛を伴う呪いを。