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大学時代、仲間の一人に「趣味=ナンパ」ってぐらい軟派な人がいた。
元々そうだったわけではないが、とある失恋をきっかけにそうなってしまった。
彼は大学の研究の片手間に、週末になると近くのJR駅まで自転車で繰り出し、ナンパするのである。
「ねぇねぇ、ホテル行かない?」
「はぁ?ホテルはヤだけど、カラオケならいいよ?」
「ホテル行く金はあるけど、カラオケ行く金はない」
「じゃあアタシがおごるからカラオケ行こうよ!」
そりゃあ確かにヤツが格好良くて母性本能くすぐる素質を持っているのも、つまりはモテモテだと言うことも理解していたが、だからっていつもこんな流れでナンパが成功するのだから世も末だと思う。
だけども女性と接する機会も少なければナンパする気も勇気もない僕らにとって、彼が話す「結果報告」は別世界の話だなと思いつつも、興味津々で聞いたものだった。
(つづく)