人里離れた山奥に、ひっそりとそびえ立つ城がある。
その城は巨大ないばらに覆われている。

ガキの頃に爺さんから聞いた話では、城の王様が姫の誕生記念に13人いる魔法使いを食器の関係で12人しか招待せず、そのために13人目の魔法使いの反感を買って呪いをかけられたそうだ。もともと死の呪いをかけられたのを12人目の魔法使いがなんとかして死の呪いを回避、しかしその代わりに姫は深い眠りについたそうだ。

魔法使いの話だと、眠り続ける姫と接吻を交わすことで全ての呪いは解けるのだそうだが、いばらで覆われた城は異形なる魔物の住処となっている為、過去に美しき姫を救い自分の女にしようと城に向かって行った男達は確かに多数いたがそれっきり、その男達の姿を二度と見たこともなければ、城のいばらがなくなる気配もさっぱりない。

だが、ただ一人だけ城に潜って生きて帰って来たってのがいるわけだ。それが、俺。

確かに魔法だか呪いだか知らないが城の中は罠だらけで色欲にとらわれた男達の死体で溢れてたよ。俺?俺はあの程度の罠やら魔物には殺られはしないよ。確かに死にそうな目には遭ったけどな。

眠っている姫というのも拝ませてもらったよ。歳もとっていなくて、奇麗だった。絶世の美女というのはあんな人のことを言うんだろうな。だが俺は姫の周りを囲むように置かれた財宝のみを頂戴して帰ってきたんだ。

だって俺、ゲイだし。