「 まがりなりにも君はこの辺の不良達の中では一番強いんだし、頂点に立つ立場なんだからさ、いつもそんなニコニコしないでさ・・・ほら、他の不良がやってるような、生理中なの?て思っちゃうようなピリピリしたあの感じとか、凄みとか、もっと出すべきなんじゃないかな?あと、俺みたいなオタクと一緒につるんでるのも周りから見たら「何で?」て思われるだろうしさ、ハクがつかないんじゃないかな? 」


「 ハクってなんだよ。別にそう思いたい奴等はそう思っとけばいいじゃん。万年生理みたいな奴らは奴らで放ってほけばいいじゃん。 」


「 そりゃあそうだけどさぁ 」


「 俺はさ、お前みたいに頭は良くないんだけど、『笑顔の効能』って奴はよくわかっているつもりだよ。ピリピリしたり凄んだりしてるぐらいなら俺は笑顔でいたいよ。だってさ、住む世界が違うようなお前ともこうやって一緒にいれるの笑顔のおかげだなと思ってるし。 」


「 ・・・・ 」


「 それとも俺と一緒にいるとやっぱ周りの目がきつかったりする? 」


「 いや、そんなことは全然気にならないんだけどさ。 」


「 あはは、だったらそれでいいじゃん。 」



何がきっかけで、彼にこんなことを聞いてしまったのかはすっかり忘れてしまった。
だけど、「コイツの考え方と笑顔にはやっぱり勝てないなぁ〜」と思ったのは確かだ。


「 笑顔ってほんと大事だよなー 」と、ニコニコしながら恥ずかしげもなく語る彼を見て、僕も「笑顔の効能」を忘れずに生きていこうと思った、そんな遠い記憶の話。